ひとつの大きな箱の中に、それぞれの部屋となる“箱”を配置するように計画した住まいです。
個室や用途による区切りはありながら、その箱と箱のあいだに生まれる“隙間”が、廊下であり、階段であり、そしてLDKへとつながる空間として機能しています。
明確に仕切るのではなく、境界を少しだけゆるめることで、家の中に自然な余白と連続性が生まれ、家族の気配がやさしく伝わる心地よさが生まれました。
リビングは北に向けて開くように設計しており、北側には道路とウッドデッキがあり、日中を通して落ち着いた光が室内に広がります。
強い日差しではなく、やわらかく安定した明るさが、時間の流れをゆっくりと感じさせ、ささやかな日常のシーンをより穏やかにしてくれます。
空間を「部屋の集合」ではなく、「つながりでできたひと続きの場所」として考えることで、暮らしはより自然体になります。
隙間があるからこそ、動きと視線が途切れず、家族がほどよい距離で過ごせる住まいです。